先日、数年前に雨畑硯「峯硯堂」の3代目である雨宮正廣さんがお亡くなりになっていたことを知りました。訃報を知らず、時間がたってしまいましたが、心よりご冥福をお祈りいたします。

 私が初めて雨宮正廣さんにお会いしたのは、2008年のことでした。友人の書家から峯硯堂さんを教えていただき、硯作りを体験させていただきました。その後、何度か峯硯堂さんを訪問させていただき、もともと雨畑硯のファンだったのですが、さらに好きになり、大小5面ほどの雨畑硯を所有しています。


 2009年には、店舗から少し離れた作業場も見学させていただき、硯の砥石や、作硯中に出た硯材のカケラを「内緒だよ」と言いながらまた帰らせてくれました。その時のカケラは、私の机硯屏がわりに置かせてもらっています。


 現在、峯硯堂さんは兄の正美さんが四代目となっています。雨畑硯の職人さんはもう数名しかいらっしゃらないと聞いています。現代の名工の技が、これからも受け継がれてゆくことを願ってやみません。