短冊色紙に作品を書く場合、ぶっつけ本番になるため、作品としての価値は一般的に半紙などに書いたものに比べて低いということになっています。もちろん、実際にはぶっつけ本番などということはなく、ちゃんと練習してから書くのですが、そういうことになっています。

 短冊には練習用の用紙がありますし、半紙に練習しても良いわけです。色紙の場合は、練習用紙というものを見たことがありませんが、半紙の長いほうを5〜6センチほど折れば色紙のサイズになりますので、それで練習できます。

 では、実際に短冊に作品を書く場合、決まりはあるのでしょうか。

1.三つ折り半字がかり

よく言われるのは、短冊を三つ折りにして、上から最初の折り目のところに最初の文字が少しかかるくらいから書き始めるというものです。俳句の場合は大抵1行に書いて、最後に作者の名前を入れることになっています。

 この形式で書くと、上の余白がかなり空いて、下の余白はほとんどないというようになります。そのためか三つ折りではなく四つ折りにして上から最初の折り目から書き出すという説もあります。また、いろんな書家の作品を見てみると、かなり上から書き出しているものもあり、厳密に守らなければならない法則ということでも無さそうです。

 また、1行に入りきらない場合は2行に書いている作品もあり、この辺りも曖昧です。

幅広短冊に短歌を散らして書いた例

2.短歌を書く場合


 短歌の場合は、幅広の短冊を使う場合が多いです。幅広の短冊にも練習用の用紙があります。そして、短歌を書く場合でも「三つ折り半字がかり」が原則で、四つ折りという説があるのも俳句の場合と同じです。

 短歌は俳句よりも長いので、2行に書くことが多いです。その場合、5・7・5・7・7のうち第1句〜第3句を1行目、第4句・第5句を2行目にするのが一般的です。ただし、これもこの原則どおりに書かない例も多く、2〜3行に散らして書いている作品も多く見られます。原則どおりに2行に書く場合、自詠の時は行等を揃え、他詠の時は2行目を半字ほど下げるという法則もあります。そして、この原則も曖昧ではあります。

 短冊の中には、無地ではなく料紙になっているものがありますが、この場合書き出しは柄の部分に半字ほどかけて書き出した方が美しいと思います。

3.墨継ぎはどこで?

墨継ぎにも一応よく言われる原則があります。俳句の場合3句目、短歌の場合は3句目と5句目で墨を継ぐとよいと言われますが、これも絶対的な原則ではありません。ただし、2行目の頭は渇筆になった方が美しいと思ます。


 およそ、以上のようなことを念頭に置いて短冊作品を仕上げると良いと思います。原則に従うも従わないも自由と思いますが、余白を考え、美しい配置を心がけるのは他のサイズの作品と共通のことでしょう。

懐紙と短冊と色紙

書道用紙の寸法は様々ですが、和紙の中で「懐紙」と呼ばれるものがあります。「全懐紙」を基準として、「半懐紙」「色紙」「短冊」などの用紙の大きさが決まります。