外苑前教室で、ある生徒さんが半切の作品に落款印を押すときに「半切ってまっすぐじゃないんですね!」と驚いていました。書道用紙に限らず、紙の角って正確に直角ではないのですが、手漉きの書道用紙ではその狂いも大きく、さらに半切は大きいので狂いも目立ちます。ですので、例えば半切のサイズは34.5cm×135cmと言っても正確にその大きさではないわけです。
 かなの書を書くときに使われる「懐紙」も、もともときちんとした大きさが定められていたわけではないそうです。


1.懐紙の大きさ


 懐紙には「全懐紙」と「半懐紙」があり、半壊紙は全懐紙の半分の大きさです。全懐紙の一般的な大きさは、タテ×ヨコ=1尺2寸×1尺6寸。1寸は約3.03cmです。したがって、半懐紙の大きさは、1尺2寸×8寸ということになります。


 ところで「懐紙」というと「お茶」を思い出される方も多いと思いますが、お茶における懐紙は書道の懐紙と大きさが異なります。また、男性用と女性用で大きさが違い、男性用は約17.5×20.6 cm、女性用は約14.5×17.5 cmです。お茶の懐紙と書道の懐紙がなぜ違う大きさになったかについては、ウェブで調べてみても説明されているところはありませんでした。

2.短冊の大きさ

 全懐紙を長辺で8等分したものを「短冊」と言います。大きさはタテ×ヨコ=1尺2寸×2寸です。この大きさの短冊を「並幅短冊」と言います。短冊には「幅広短冊」というものもあり、大きさはタテ×ヨコ=1尺2寸×2寸5分。これは全懐紙を長編で6等分したものとほぼ等しい大きさです。並幅短冊には「俳句」を書くことが多く、「幅広短冊」には短歌を書くことが多いです。


3.色紙


 全懐紙から短冊1枚分を除いた残りを4つに分割したものが「色紙」になります。大きさは、タテ×ヨコ=7寸×6寸になります。ただし、現在よく見かける色紙はほとんどが「大色紙」と呼ばれるもので、タテ×ヨコ=9寸×8寸です。


 大きさの単位を昔の言い方「尺」や「寸」で記述しましたが、現代の単位に合わせてセンチメートルで表すと、小数点などが出てきてわかりにくくなりますね。1寸はほぼ3センチと考えれば大きさの見当はつきます。大きさやサイズのことを「寸法」といいますが、単位が「寸」だとしっくりくる言葉だと思います。