山梨県身延町といえば、雨畑硯の産地。けれどもう一つ、西嶋和紙もこの地の伝統工芸品です。

西嶋和紙は、三椏(みつまた)を主とした画仙紙を生産しているのだそう。
画仙紙とは、適度なにじみ、カスレがあって漢字作品に使われる紙です。和歌や俳句などかな作品を書くには、にじみの少ない和紙を使います。

画仙紙の特徴は藁が適度に配合されていること。
昔、子供のころ「わら半紙」といえば、真っ白な洋紙と比べて茶色みがかった安い紙という印象でした。
なので、初めて画仙紙に藁が使われていると知ったとき、中国紙って安ものなの?と思った記憶があります。

けれど、西嶋和紙の山十製紙さんの工場を見学させてもらったとき、原料の藁を粉砕した原料を見せてもらって驚きました!

●画仙紙の製造過程を説明してくださる山十製紙の笠井代表

●右が三椏、左が藁

藁って、こんなに白いんですね。
もちろん漂白されているのだとは思いますが、隣に持っている三椏とくらべても、ほとんど同じくらい白い。

繊維の短い藁が入ることで、漢字作品にちょうど良い「カスレ」と「にじみ」が生まれるのですね。