硯の大きさの単位
雨畑硯(五三寸) |
バスドラムのことを「ベードラ」と言っていたら、「プロはそう言いませんよ」と指摘されて恥ずかしい思いをしたことがあります。同じように書のお仲間から「その硯は何インチですか?」と聞かれて、答えられずにやはり恥ずかしい思いをしたこともあります。
硯の大きさ、墨の大きさ、筆の太さなどは独自の単位があり、その単位をいまだにちゃんと覚えていないので、備忘録がわりにここに書いておこうと思います。
1.和硯と唐硯では単位が違います
硯の大きさの単位は、中国と日本で違います。中国は「吋(インチ)」、日本では伝統的な符丁を用います。
中国では、硯の天地の長さを「吋(インチ)」で表し、1吋は約2.5センチです。それに対する横幅についてもほぼ決まっているようで、表にすると次のようになります。
サイズ |
天地 |
幅 |
3吋 |
7.5cm |
6.0cm |
4吋 |
10.0cm |
7.0cm |
5吋 |
12.5cm |
8.5cm |
6吋 |
15.0cm |
10.0cm |
7吋 |
17.5cm |
11.5cm |
8吋 |
20.0cm |
13.0cm |
9吋 |
22.5cm |
14.5cm |
10吋 |
25.0cm |
16.5cm |
この表記は割とシンプルで分かりやすいかと思います。
ところが、日本の伝統的な呼び名は、もはや丸暗記しかない感じで、どうしても覚えられません。が、表にしてみます。
サイズ |
天地×幅 |
サイズ |
天地×幅 |
二五度 |
75×45mm |
小四六 |
167×106mm |
三五度 |
100×45mm |
大四六 |
180×120mm |
三八 |
100×72mm |
四七 |
213×120mm |
四二寸 |
120×60mm |
四五七 |
213×135mm |
四平 |
120×75mm |
五七 |
213×150mm |
四五平 |
135×75mm |
五八 |
240×150mm |
五平 |
150×75mm |
尺六 |
272×182mm |
五三寸 |
150×90mm |
尺七 |
300×213mm |
ちなみに硯のほとんどは手作りなので、上記の寸法よりも幾分誤差があります。また、自然石の形を残した硯だとさらに大きさにはバラツキがあります。
2.どのくらいの大きさの硯を使えば良いのか
最初の写真は、私が普段使いしている雨畑硯で、物差しで測ってみると天地150mm×幅91mmですので「五三寸」ということになります。
この硯を使って半紙4〜5文字を書いています。小筆もこの硯で墨は少量で細字も書いています。大は小を兼ねるといったところでしょうか。
次の写真は端渓の楕円硯で、天地230mm×幅138mmですので「9吋」ということになります。
この硯では、半紙に1〜2文字書くときや、八切り作品、ぎりぎり半切二行まではいけるかと思います。けれどもちろんこの硯で小筆の細字を書いても構いません。これくらいの大きめの硯の場合、少量の墨をすって書く場合は、墨を海に落とさずに岡の部分ですったらそのままそこに溜まっている状態で書くと良いかと思います。
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