父の家の玄関先に生えている竹

  2019年のことだったと思うのですが、父の家の玄関先に植えられている笹竹に突然花が咲きました。

 昔から竹に花が咲くと不吉なことが起こると言われているそうです。そもそも竹に花が咲くのは120年に一度くらいのことで、花が咲くとその竹は枯れてしまうのだそうです。


1.竹に花が咲くと不吉なことが起こる

 2020年になると全国的にも竹に花が咲いたそうで、ニュースでも取り上げられていました。なので、ネットで調べてみると2018年くらいから2020年くらいにかけて全国のいろんな場所で竹に花が咲いたというニュース記事を見ることができました。


竹の花が咲いた後の様子

 竹は稲科の植物で、その花も稲に似ています。上の写真は花が枯れてしまった後なのでちょっとよくわからないですね。竹は120年に一度しか花を咲かせないので、通常竹は地下茎によって個体を増やしていきます。何本も生えている竹林も、実は一つの竹が地下茎で広がっていものだそうです。ところが120年に一度だけ花を咲かせて交配すると、その個体は枯れてしまい、新たに種子から新しい竹が生えてくるということです。

 竹の花が咲くと悪いことが起こるというのは迷信ではあると思うのですが、過去にも2008年に全国で竹の花が咲いたことがあり、その直後リーマンショックが起こりました。2018年中国四川で竹に一斉に花が咲いた後、四川大地震が起こったと言います。今回も竹の花が咲いた時期とコロナ禍が重なります。

 けれど、竹の花は悪いイメージばかりではないようで、西洋では竹の花言葉は「幸福」「忠実」など良いイメージということです。


2.竹で文鎮を作ってみよう

 父の家の竹は、文鎮にちょうど良い太さなので、これを利用して文鎮を作ってみました。外苑前教室のみなさんと、教室の合間に作ります。全工程はおよそ2時間くらいでしょうか。

文鎮の長さに切った竹と鉛


a.竹を文鎮の長さに切ります

 書道の半紙は、8寸×1尺1寸(24.2cm×33.3cm)の大きさです。ですので、およそ22cm〜24cmくらいの長さに竹を切ればちょど良いでしょう。この時、竹の節がちょうど真ん中に来るようにすると、節が文鎮の中央に位置する事になってバランスがいいです。また、溶かした鉛を流し込むので、途中に節がないと鉛が流れ出てしまいます。

竹を文鎮の長さに切ります


b.小さめの手鍋で鉛を溶かします

 鉛は釣りの錘用のものが手軽に手に入ります。1kgのものを買えば十分です。教室では、溶かしやすいように粒の小さいものを準備しました。鍋はごく普通の小さな手鍋ですが、鉛を溶かすのに使ったら他の用途には使えなくなってしまいます。

手鍋で鉛を溶かします

 一度にたくさんの鉛を入れずに、少量から溶かし始めてください。一度溶けたところに次の粒を投入すると溶けやすいようです。ちなみに鉛の融点は、327.5°Cとのこと。

最初に投入したものが溶け始めたら鉛を追加してゆきます


c.竹に針金を巻きつけて持ち手を作ります

 真ん中の節のところにかかるように針金を巻いて、持ち手を作りましょう。溶けた鉛を流し込むので、このような持ち手をつけないで直に竹を持つことは不可能です。

節を挟むように針金を巻きます

d.溶かした鉛を流し込みます

 鍋を火から離したら、素早く竹の管の中に流し込みましょう。この時モタモタしていると、せっかく溶けた鉛が固まってきてしまいます。

 流し込み始めるとすぐに「グツグツ」「シューシュー」と音がして竹の切り口からは湯気が立ち上ります。鉛の熱で、竹の水抜き・油抜きができるわけです。

手早く鉛を流し込みます

 切り口の縁まで流し込んで、しばらくそのまま待つと湯気が穏やかになってきて、鉛が固まってきます。湯気が目立たなくなったらもう大丈夫ですので、竹の上下をひっくり返して反対側にも鉛を流し込みましょう。


e.切り口をパテで塞ぎます

 鉛を流し込んだままの切り口は、最初は鉛の銀色が鮮やかで綺麗に見えますが、やがて鉛が酸化してあまり綺麗ではなくなってしまいます。また、冷えてくると鉛自体が縮んでくるので、スポッと鉛が竹から抜け出てしまう可能性もあります。

鉛を流し込んだ後の切り口

 それを防ぐために、木工用パテで切り口を埋めると良いでしょう。木工用のパテだと色合いも自然なので違和感がありません。
パテ埋めした切り口


f.接地面を紙やすりで平らに削ります

 このままだと、竹の丸みでコロコロ転がってしまいますので、紙に設置する面を紙やすりで平らに削ります。

紙やすり(上)と削った設置面

 荒目の紙やすりで竹の全長さ分が接地できるように平らに削ります。この時、均等に平らになるように気をつけながら削っていきます。また、竹の管の空洞部分に達してしまうと鉛が剥き出しになってしまうので、削りすぎないようにも気をつける必要があります。


 竹は、ホームセンターなどにも売っていると思いますので、鉛も含めて1本作るのに3,000円ほどの材料費で作ることができるかと思います。手作りの道具で書を楽しむのもなかなか趣きのあることです。