書道用語辞典 【ら行】
《落成款識》(らくせいかんしき)
このことばを略したのが「落款」と言われているが、根拠のない説である。款識は、金石に文字を刻することで、「作品の完成」を意味すると言われている。《落潮》(らくちょう)
硯の平面(墨堂)から「硯池」(磨った墨の溜まるところ)へかかるところ。《楽浪筆》(らくろうひつ)
朝鮮平壌付近の漢代楽浪郡遺跡から出土した筆。前漢末~後漢初のころのものと推定され、筆管は木を四つ割にして毛を挟み、麻糸でしばり根元を漆で固めている。2.9センチの穂の部分だけで、直径0.4センチ中心の芯を取り巻いて被毛がかけてある有芯筆である。《落款》(らっかん)
書作品に書いた年月日、理由、場所、氏名、姓号などを書き印を押すこと。通常「○○書」とするのが、「○○題」とする場合もある。特にその家、その室のために周囲の事清などを考えて揮毫した場合、「○○題」とする。《落款印》(らっかんいん)
作品に押してある印のこと。《羅紋硯》(らもんけん)
羅紋と呼ばれる薄い絹織物のような青黒色の細い線が幾重にも走っている硯。《蘭亭硯》(らんていけん)
王羲之の蘭亭雅会を硯の全面に彫った硯のこと。《竜集》(りょうしゅう)
「竜」は星の名、「集」は宿るという意味。この星が1年かけて周回し元の宿に戻ることから1年を意味し、年号の下に書く。例:「慶応三年竜集丁卯」《六書》(りくしょ)
漢字の成り立ちを説明する六種。「象形・指示・会意・形声・転注・仮借」《猟碣文》(りょうけつぶん)
石鼓文に刻まれた内容が、おおむね狩猟に関する四言詩だったため、石鼓文のことを「猟碣文」とも言う。《料紙》(りょうし)
材料の紙、使用する紙の意。用紙。あるいは、模様入りの美しい紙のこと。《料足》(りょうそく)
費用、代金のこと。《臨書》(りんしょ)
手本を見て、その通りに書くこと。作品にする場合は、「○○臨」と署名する。手本を見ないでの自分の書は、「○○書」とする。臨書の種類
・形臨 字の形を重視して書く書き方。
・意臨 字の形よりも、その字が持っている雰囲気を大事に書く書き方。
・背臨 手本を伏せて書く。「暗書」
《臨池》(りんち)
書道を習うこと。後漢の張芝が、池に臨んで書を学ひ、池の水が真っ黒くなったという故事による。「入木」「換鵞」ともいう。《臨模本》(りんもぼん)
「臨書」された完成品。《隷書》(れいしょ)
漢字の書体の一つで「篆書」を簡便にしたもの。「篆書」は曲線が多く、筆記に時間がかかったため、より速く書けるように工夫して考案された書体である。100年頃、完成したといわれる。字が堂々としているので、看板・酒の名などに今でも使われている。《歴史的仮名遣い》(れきしてきかなづかい)
語を仮名で表記する場合の方式の一つ。平安中期の表記に基づき、1946年に「現代仮名遣い」が公布されるまで標準的な表記法であった。例:てふてふが、舞ってゐる。=ちょうちょうが、舞っている。
→「旧仮名遣い」「現代仮名遣い」
《連・聯》(れん)
1.全紙の縦四分の一、または三分の一の紙。2.漢詩、漢文などで相対する二句の呼び名。「対聯」ともいう。対句を二枚に分けて書いて門に掛けるものを「門聯」という。
《連印》(れんいん)
落款印のひとつで、例えば「雅峰」は通常一個の印におさめるが、これを「雅」と「峰」に分けて、ニ個押して完成させるものをいう。「下駄印」ともいう。《連落》(れんおち)
全紙を縦に四分の三または三分の二にしたもの。全紙から「連(聯)」の部分を裁ち落とした残りの紙。《練習法》(れんしゅうほう)
肉筆模書法:先生が書いた肉筆手本の上に白紙を乗せて写し書きする。
篭字法あるいは双鈎法:手本の上に白紙を乗せて縁取りをして埋め書きする。
骨書法:点画の骨組の「芯」を線書きし、その上に書く。
九宮法:二子を九つのマスに線引きして書く。
点十字法:一字を縦横の中心て線引きして書く。
補助線法:偏や旁などの配分量を補助線として引いておいて書く。
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