書道用語辞典 【か行】
《顆》(か)
篆刻などの印を数える単位。三顆一組など。《会意文字》(かいいもじ)
二字以上の漢字の字形や意味を組み合わせてできた感じ。男・占など。《懐紙》(かいし)
懐に入れて携帯するための小ぶりな紙。平安時代に盛装するときに扇子をはさみ懐中した。詩歌・俳句・連歌などを書いた。はじめは身分によって紙の大きさが違っていたが、現在では縦50センチ、横37センチが一般的である。茶道での懐紙は、「小菊」(縦14センチ、横17.5センチ)を称される手漉きの美濃紙を二つ折りにして用いられている。《楷書》(かいしょ)
隷書から変移した漢字の書体。崩さないきちんとした整然とした点画に省略のない方正な字。「真書」とも言う。三世紀頃、草書や行書に遅れて成立した。今日では最も一般的に用いらるしょたいで、活字体の母型となっている。《界線》(かいせん)
写経用紙に引いた線のこと。《回腕法》(かいわんほう)
「懸腕法」(けんわんほう)よりもっと大きく腕を上げ、脇を離して書く書きから。この場合、筆管の上部を持ち、ひじを半円形に溝えて書く。1881年(明治13年)に来日した湯守敬によって伝えられた。《雅印》(がいん)
書画作品に押す印。《引首印・関防印》《姓名印》《雅号印》の三顆を一組とすることが多い。《花押》(かおう)
平安中期から用いられた草書体を図案化した記号で自署の証明である。平安時代から江戸時代にかけて広く用いられた。「書き判」「花書」とも言う。《鏡文字》(かがみもじ)
鏡に文字を写して見たときのように、裏返しに書いた文字。幼児や小学一年生の習字初期に出てくる。《書初め》(かきぞめ)
正月二日に、その年初めて「書」を書くこと。「吉書」(きっしょ)、「試筆」(しひつ)、「初硯」(はつすずり)、「筆始」(ふではじめ)などとも言う。もともとは宮中で行われた儀式だが、江戸時代以降、庶民に広がった。《額装》(がくそう)
書画作品を額縁仕立てにしたもの。日本間の床の間が書画陳列の中心であった時は軸物が中心であったが、和洋折衷の建築が多くなり、現在では額装の書画も多くなっている。額縁は木製、アルミ製、ステンレス製などいろいろあり、ガラスやプラスチック、アクリルなどで表面をカバーして誇りや墜の付着を防いでいる。表具効果を考えて、平張り表装、浮き出し表装、マット付表装など多様である。《隔麻拓》(かくまたく)
麻布で包んだタンポでたたいて取った拓本のこと。《掛緒》(かけお)
「掛軸」などを掛けるために、「八双」から直接出ている紐のこと。《掛軸》(かけじく)
書や東洋画を裂(きれ)や紙で表装し、床の間等に掛ける軸物のこと。単に「軸」とも言う。《瓦硯》(がけん)
瓦でできた硯のこと。中国・殷時代からあり、円形または半円形のものが多い。《雅号》(がごう)
文人・画家・書家などが、自分の本名以外につける風雅な名前のこと。昔は自ら号することはなく、他人がその人を尊敬してつけることが多かった。近現代では、先輩や先生から号をもらうことが多くいが、自分で号するようにもなった。《篭字法》(かごじほう)
手本の文字の縁を取りをしたもの。「鉤摸」ともいう。「籠字」ともかく。《飾り筆》(かざりふで)
「筆管」に様々な豪華な飾りを彫りこんだ筆のこと。明から清時代に流行した。《仮借》(かしゃ)
漢字の六書(りくしょ)のひとつ。音だけあって、その語を表す漢字がない時、同じ音の別の意味の漢字を借りて表す方法。「かしゃく」ともいうが、もともとは「かしゃ」。《賀寿》(がじゅ)
武士の時代から起こり、家父長制のもとで男性だけの祝いとしての傾向だったが、もちろん女性の祝いでもある。・還暦 61才
・古稀 70オ
・喜寿 77才
・傘寿 80才
・米寿 88才
・卒寿 90オ
・白寿 99才
・珍寿 110才
当人の趣味に関連した物を贈ることが多い。お返しは、自筆の書画などを額に入れたり「表装」したり、染め物などにして贈る。表書きは「内祝」。
《瓦碍》(がせん)
瓦と煉瓦のこと。秦時代から始まり、めてたい文字を「篆書」の「陽文」で書いている。《画仙紙》(がせんし)
正しくは「宣紙」。中国安徽省宣州一帯で生産されていたためこの名がついた。一般に書の用紙の通称ともなっている。《片仮名》(カタカナ)
平安時代初期に漢文の訓読のために用いられたのが起源で、漢字の一部分をとってできた「かな」文字である。もとは「かたかんな」と言い、「かた」とは不完全という意味。「万葉仮名」の字形を省略し、なるべく簡単な字形にするように工夫されたことから生まれた。現在の「カタカナ」は、1900年(明治33年)「小学校令施行規則」による。《固め筆》(かためふで)
筆の毛の部分を糊で固めたもので、先の方の糊を必用な長さだけ洗い流して使用する。初心者には使いやすいとされる。《渇筆》(かっぴつ)
墨の量か少なくなってかすれた筆跡のこと。書作品では大切な表現である。渇筆となる条件として、。1)墨の量が少なくなってきたとき。2)紙の目が祖いとき。3)運筆が速いとき、などがある。
《瓦当》(がとう)
軒瓦の端の丸い部分のこと。そこに文字や紋様で装飾した。中国秦時代から始まったようで、文字は篆書が一般的で「陽文」である。めでたい内容のことばが多い。《蛸斗文字》(かともじ)
鉗斗とはオタマジャクシのこと。中国の「篆書」初期の字体で、紙が発明される以前に「竹簡」に漆で書いたため、漆がねばり点画の頭が太く、先の方が細くなってオタマジャクシに似るため、この名がついた。《仮名》(かな)
「かりな」の音便「かんな」からきている。漢字を「真名(まな)」というのに対して「かりな」と呼んだ。漢文に拠らないで直接日本語を表記するするのに用いる文字を「かな」という。・万葉仮名 = 奈良時代以前から、漢字の音訓だけを借りて表記したもの。
・草仮名 = 平安時代になると、万葉仮名を草書で書いたものが見られるようになった。これが草仮名で、小野道風が書いたと伝えられる「秋萩帖」が有名である。
・平仮名 = 草仮名を更に簡略化したもの。平安時代から現れ、同音複数字ある。明治初年から一音一字と決まった。
・変体仮名 = 現在用いられている平仮名字体以外の草仮名。
・片仮名 = 平安時代初頭から見える万葉仮名の字画の一部を省略したもの。
《紙ヤスリ》(かみヤスリ)
「篆刻」参照。《唐様》(からよう)
中国式の書や様式のこと。《仮巻き》(かりまき)
仮の軸表装のことで一時的に鑑賞できるようにするもの。一枚の紙で軸のように仕立て、それに作品を糊やセロテープで留めて展示する。学校の文化祭等で重宝する。《鐶》(かん)
「座金」のこと。《寛永の三筆》(かんえいのさんびつ)
寛永時代の3人の能書家、本阿弥光悦・近衛信尹・松花堂昭乗のこと。《換鵞》(かんが)
聖とよばれる王羲之は鵞鳥を好み、自分の書と鵞鳥を交換したという故事があることから、書を習うことをこのように言う。《間架結溝法》(かんかけっこうほう)
文字の形の整え方を言うことば。「間架」は点画の間隔、「結構」は左右上下の釣り合いを整えて字形を組み立てること。すなわち「一字の構成法」のこと。《緩急》(かんきゅう)
運筆する速度のことで、緩はゆるやか、急は早いこと。緩急の適度の溝成によって書の持つ表示が変わってくる。《冠婚葬祭》(かんこんそうさい)
古来、最も重要視されて来た四つの儀式のこと。冠は元服、婚は婚礼、葬は葬儀。祭は祖先の祭りをさす。《鐶座金》(かんざがね)
「座金」の項参照。《漢字》(かんじ)
古代中国、紀元前15世紀頃現れ、多くの変遷・発展を続け現在まで使われている文字。現在は、中国・韓国・日本でだけ一般に使われている。日本には、一世紀頃には鏡や剣に出現しているが、文字として意識的に輸入されたのぱ四世紀から五世紀にかけてといわれている。朝鮮で漢字の読み書きの知識をもっていた人の渡来、移住によって伝えられたと考えられている。《管城子》(かんじょうし)
筆《巻子本》(かんすぼん)
「巻物」のこと。《勘亭流》(かんていりゅう)
歌舞伎の外題や看板などに用いる文字。江戸時代に書家の岡崎屋勘六(号名:勘亭)が作り出したといわれ、独特な趣がある。中村座から芸題の揮毫依頼を受けた勘六が書いたところ評判となり、その雅号を取って勘亭流とした。一般的な書体とは違うが味のある書体が喜ばれ、歌舞伎界では今でも続いている。《簡贖》(かんとく)
竹簡、木簡のことで、紙のなかった時代に竹札や木札に書かれた文字。《関防印》(かんぼういん)
作品の右上に押す印で、各人好みの文言。《還暦》(かんれき)
「十干」と「十二支」を順次組み合わせていって年号を表すが、一順して元に戻るのに六十年かかる。「暦が元に還る」という意味で「60歳の祝い」をいう。「華甲」ともいうが、「華」の字を分解すると「十が六つ」と「一」になるため。「甲」は甲子の甲で、お祝いの包み祇に「賀華甲」と書く。《忌明け》(きあけ)
仏式で、死後49日のこと。《揮毫》(きごう)
書画などを書くこと。一般にある程度の実力者の場合に言う。《喜寿》(きじゅ)
77歳の祝い。「喜」を草書で書くと七の重なりに見えるから。《起首と結語》(きしゅとけつご)
起首は手紙等の書き出し語。《結語》は終わりの言葉。相互に対応しなければならない。起首:「拝啓 謹啓 謹白 謹呈 啓上 奉啓」
→ 対応する結語:「敬具 敬白 謹言 頓首 再拝 かしこ」
「前略 冠省 急白 急啓」
「敬具 敬白 草々 不一 かしこ」
「拝復 敬復 謹答 拝答 拝誦」
「敬具 敬白 敬答 草々 不一 かしこ」
《擬声語》(ぎせいご)
物や人・動物などの音や声を表す語。「がんがん・にゃんにゃん・わんわん」など。《擬態語》(ぎたいご)
物事の様子や状態を表現する語。「そろそろ・しとしと」など。《忌中》(きちゅう)
不幸のあった家庭の玄関前に張り出す。期間は49日間だが今は適当に外される。家庭内の華やかな雰囲気のもの(絵画、賞状、生け花など)は、片づける。《起筆》(きひつ)
筆の第一着手のこと。線の一番初め。始筆ともいう。起(始)筆→送筆→終(収)筆。《偽筆》(ぎひつ)
本人でない別人が書いた字のこと。《亀趺》(きふ)
石碑の台石が、亀の形をしていたり、亀を彫りこんであるもの。《木筆》(きふで)
瑾、楊、柳などの木を細く割って、たたいて鋒にした筆。梵字を書くときに使うことが多い。《基本点画》(きほんてんかく)
漢字を構成している基本的な点画のこと。書を習得するために、この基本点画の反復練習と確実な技量の習得は重要である。《逆箪》(ぎゃくひつ)
「起筆」の方法で、左上の45度の方向からの入筆ではなく、右上または右真横から左に向かっての入筆。縦方向の場合は、下から上に向かって逆に筆を入れ、それから「運筆」する方法。「逆入筆」とも言う。《九宮法》(きゅうきゅうほう)
一文字を九分割するように線を引き、そこに書く練習法。→「練習法」《旧字体》(きゅうじたい)
現在使用されていない字体のこと。横線の数、はねの有無等の軽微な違いの場合もあるが、まったく違った形の書体の場合もある。書を志す場合、ある程度旧字体にも通じる必要がある。《旧暦》(きゅうれき)
改暦があった場合、それ以前に使われていた暦法のことを言う。現在では一般的に、グレゴリオ暦が使われる以前の暦のことで、日本では天保暦のことを指し、月の運行を基準にしている。→「太陰暦」《教育漢字》(きょういくかんじ)
小学校卒業までに読み書き出来るようにと、文部省が定めた文字の通称。1年80字、2年160字、3年200字、4年202字、5年193字、6年191字の全部で1,026字。《強弱》(きょうじゃく)
書道の場合は「筆圧」の強弱のことを言う。運筆の際の強弱のリズムのことで、筆線に躍動美が生じる。逆に強弱のない書は平凡になりがちである。力の充実した線、緊張感のある線、深みのある迫力に富む線、動静の見える線などこれによる。《競書》(きょうしょ)
課題を清書して作品の出来栄えを競うことを言う。競書大会や競書雑誌はそういう性格のものであり、その優劣によって段級位の認定等をしている。書道学習のひとつとして明冶以降盛んになった。段級位は、各々の書道団体独自のものなので、書道会の主張や見方が違う以上書道会が違えば段級位も別の権威のものであって、書道団体を変われば新たに認定し直されるのは、その性格上やむを得ない。《行書》(ぎょうしょ)
普段書く文字、文書の意の「行押書」を省略して行書という。隷書を早書きすることから発生したものと考えられている。《響搨》(きょうとう)
書画、特に書の複製を作る方法で、手本を敷き写しにして文字のワクをとり、その中に墨を埋めていく方法のこと。「双鈎填墨」ともいい、正確ではあるが筆勢が失われてしまう欠点がある。「模」「模写」ともいう。《居延筆》(きょえんひつ)
1930年から1931年にかけて、中国西北科学考察団がモンゴルのエチナ川流域で、漢代の居延県城の遺址を発掘した際、一万余点の「木簡」と共に完全な原形を留めた筆を発見した。これを「居延筆」という。「筆管」の長さは21センチ、太さ0.65センチ。「鋒」の長さは1.4センチ。筆は木軸で四つ割りにした一端に穂を差し込んで麻糸て縛り、漆で根元を固めてある。《虚画》(きょかく)
画と画との間に内在する目に見えない線をいう。「虚線」「空画」とも言い、「筆脈」のことでもある。→実画《切り箔》(きりはく)
「料紙」に散りばめられた金箔のこと。正方形やひし形をしている。《裂地》(きれぢ)
掛軸・表装に使う布類の総称。《謹空》(きんくう)
書状の終わりに余白を残し、謹んで批評を願う意。《金石文》(きんせきぶん)
金属や石に記された文字資料のこと。具体的には青銅器や石碑、墓碑など。「甲骨文字」もこれに含まれると言われる場合もある。→「鐘鼎文」「金文」《近代詩文書》(きんだいしぶんしょ)
「現在文体の書」ともいい、過去の書体にとらわれず、自由奔放な書体であり一般にはなかなかその良さがわからない。一見、全く所の経験のない小学生がとつとつと書いたような字で、独特の書論を持つ。初学者には危険である。昭和初期に一部の人が提唱し、戦後盛んになった。《金文》(きんぶん)
中国、殷時代以降精巧な青銅器が作られるようになったが、それらには銘文が刻まれることが多かった。その書体を言う。紀元前1,000年ころの文字で、「甲骨文字」の系統を受けているが、それをさらに一層整えている。《空書》(くうしょ)
空間に向かって腕を使って文字を書くことをいう。実際に筆跡が残るものではなく、「エアー書道」とも言える。道具がなくてもいつでもできるので、筆使いや運筆の練習には効果がある。良寛などはこの方法でよく練習したという。《草仮名》(くさかな)
→「変体がな」《草筆》(くさふで)
動物の毛ではなく、植物性のもので作った筆の総称。《句読点》(くとうてん)
文の終わりを明確にするための丸「。」を句点、文の途中の区切りに打つ点「、」を読点と言い、両方をまとめて「句読点」という。《雲形》(くもがた)
→「雲引き」《雲引き》(くもびき)
短冊や色紙などに描かれた、雲がたなびいているような模様のこと。《繰り返し符号》(くりかえしふごう)
前の字の「音」をもう一度繰り返すことを表す符号のこと。漢字の場合は「々」、仮名の場合は「ゝ」。かなの二字以上の繰り返しでは「ゝゝ」とする。→「畳字」「踊り字」「重ね字」「ゆすり字」などともいう。《訓》(くん)
漢字の読み方で、日本的な発音のこと。例:「中」=「なか」。→「音」《鶏血石》(けいけつせき)
浙江省杭州府昌化県で産出する石印材。「石印材の女王」と呼ばれるほど珍重される。血のような赤い部分があることが特徴で、赤い部分が多いほど効果となる場合が多い。《形声》(けいせい)
漢字の「六書」の一つで、「音」を表す字と「意味」を表す字とを組み合わせて文字を作る方法。例:「河」「鳩」。→諧声・象声
《形臨》(けいりん)
「臨書」の方法の一つで、字形を重視したのやり方で、主観を押え、その手本の文字造形を写実的に忠実に習うこと。初学の段階では特に重視しなくてはならない方法である。→「意臨」「背臨」《下駄印》(げたいん)
下駄の歯のように2字の間を離して作られた印。→「連印」《外題》(げだい)
1)「巻物」や「掛軸」の外側に貼った紙片で、軸の内容を記す。2)「古文書」用語で、書状に対する指令や返事などが、その書状の端や裏に書かれたもの。
(けつご)《結語》
手紙などで結び語の意。→「起首と結語」《結婚祝》(けっこんいわい)
贈り物を送る場合、出来るだけ挙式当日は避け、二か月前から一週間くらい前までに届ける。お祝いが挙式当日になる場合は現金とする。表書きは、「御祝」「寿」とする。お返しは、披露宴に招かなかった人だけにに送り、新婚旅行から帰って1〜2週間以内に。表書きは、「内祝」。《結婚記念日》(けっこんきねんび)
明治以降、西洋文化の浸透と共に一般に広まった。表書きは「御祝」。お返しは不要。主な呼ひ方:
1年目 紙婚式(綿)
5年目 木婚式
10年目 錫婚式
15年目 銅婚式(水晶)
20年目 磁器婚式(陶器)
25年目 銀婚式
30年目 真珠婚式
35年目 珊瑚婚式
40年目 ルビー瑚式
45年目 サファイア婚式
50年目 金婚式
55年目 エメラルド婚式
75年目 ダイヤモンド婚式
《結体》(けったい)
字形が縦長であるとか横広であるなどの形をいう語。《硯陰》(けんいん)
硯の裏のこと。→「硯背」《硯縁》(けんえん)
硯の周囲にある「ふち」のこと。「硯純」「硯唇」ともいう。《硯蓋》(けんがい)
硯のふたのこと。同じ石材で作られたものが良いと言われる。《硯坑》(けんこう)
硯の石材を産出する坑脈のこと。古いものを「老坑」、新しいものを「新坑」という。また、山中にあるものを「山坑」、水中のものを「水坑」という。特に端渓硯などで「水坑」は、石質が良いとされている。《硯厘》(けんこう)
硯を塵などから守るために入れる箱で、木製のものが多い。「硯室」ともいう。《捲鈎》(けんこう)
縦線の終わりを右にはねた形のこと。《兼毫筆》(けんごうひつ)
2種類以上の毛を原料として作られた筆のこと。通常、毛の色が違っているので見分けがつきやすい。2種類以上の毛を使用することにより、筆の固さを調節している。《硯室》(けんしつ)
硯用の箱のこと。→「硯厘」《懸針》(けんしん)
縦線を引いて、筆先を自然に抜いたときにできる針のような形のこと。《硯側》(けんそく)
硯の側面のことで、「硯芳」「硯陰」ともいう。《現代仮名遣い》(げんだいかなづかい)
現在使われている仮名遣い。1946年11月16日に内閣告示によって公布された。それまで使われていた「歴史的仮名遺い」を廃止して、発音どおりに表記することを原則としている。《硯池》(けんち)
硯で、磨った墨がたまる部分のこと。「海」「池」ともいう。《検定》(けんてい)
書道の場合、様々な書道界で級・段を認定するときに、書作品の成績を決めることをいう。書道会それぞれに基準があり、通常、その書道会の本部の師範が行う。《原典》(げんてん)
原本のこと。書の資料や手本を見る場合は、できるだけ原典にあたることが望ましい。《硯背》(けんぱい)
硯の背面のこと。「硯陰」ともいう。《硯屏》(けんびょう)
硯の向こう正面に立ててる屏風のようなもの。ただい、屏風としての役割よりは、観賞用の意味合いが強い。文房飾りのひとつ。《研墨》(けんぼく)
墨を磨ること。《硯面》(けんめん)
硯の表面。《懸腕法》(けんわんほう)
腕を上げて肘は脇から離してできるだけ水平にして書く方法のこと。腕を自由に動かすことが可能なため、運筆がしやすい。→「枕腕法」「提腕法」《甲骨文字》(こうこつもじ)
現存最古の漢字。亀の甲や牛の骨などに刻んだ。中国・殷時代にみられ、占いで問おうとすることなどを鋭い刃物て刻んだ文字。占いの結果も刻まれ、大切に土中に埋められた。《校字》(こうじ)
「篆刻」で彫ろうとする字を、どのように彫るか吟味すること。→「検字」《香紙切》(こうしぎれ)
「麗花集」という歌集を「かな」で書いた平安時代の墨蹟で、書者は小大君(こおおいきみ)と言われるが定かではない。香りのある紙で作られた「料紙」が使われていることからこの名がついた。「こうがみきれ」とも言う。《向勢》(こうせい)
例えば「国」などの字で、対向する左右の縦の線が外側に膨らんで、向き合っているような形になることを言う。全体的に丸みを帯び、暖かでおおらかな感じのする字となる。→「背勢」「直勢」《硬筆》(こうひつ)
鉛筆、ペン、ポールペン、万年箪などの硬い筆記用具のこと。《剛毛筆》(ごうもうひつ)
馬やイタチ、狼など比較的硬い毛を使用して作られた筆のこと。《五嶽》(ごがく)
中国にある、奇峰で有名5つの山。・東嶽:泰山(山東省)標高1524メートル
・西嶽:華山(陳西省)標高1997メートル
・南嶽:衡山(湖南省)標高1290メートル
・北嶽:恒山(山西省)標高2017メートル
・中嶽:嵩山(河南省)標高1440メートル
《故宮博物院》(こきゅうはくぶついん)
中国の歴代の皇帝らが系統的に収集し、北京の紫禁城に保管されいた歴史的文化財をまとめて収蔵した博物館。膨大な文物があり、書道の古真跡も多い。第二次世界大戦後の中国内戦中の1948年、中華民国政府が三次にわたって29,972箱、23万8951点が台湾へ運ばれた。これを収めてあるのが台北の「国立故宮博物院」てある。残った書画200点、青銅器400点なとの文物とその後の発掘物等を収めてあるのが北京の「故宮博物院」である。《刻字》(こくじ)
字を彫ることを言うが、一般には寺の山門やお堂の軒にかかっている木の額を言う。多くの場合横書きで、彫られる木は、材質の堅い桜、梅、欅など、柔らかいものでは杉、桐、桂、朴、竹などがある。■刻字の種類
凹刻(字の部分を彫りこむ)
・船底彫り 最も一般的で、彫った後が船の底のようになる。
・筋彫り 筋彫り墨の部分だけ細く彫り、これに胡粉や顔料を入れる。
・菱彫り 筆画の中心を高く残した刻法。
・薬研彫り 両側から逆三角形に彫る。
・蒲鉾彫り 中高に丸みを持たせた方法。
・薄肉彫り 船底彫りの浅い場合の呼び名。
・たたき彫り ごく大字の場合、船底彫りの底に変化を与える方法。
・重ね彫り 筆画の深さを変えて変化を出す方法。
・片切り彫り 一方を垂直にし、他方をなだらかにするというような変化を考えて溝を作る方法。
凸刻(字の部分を浮かす)
・たたき彫り 文字に変化を与え、箔に当たる光線の変化を期待するもので、浮かした文字の線にも彫りる。
・重ね彫り 筆画の高さを変えて立体感を出す方法。
・立体彫り 板に穴を開けて、文字そのものを地上に立てようとするもの。
・篭目彫り 篭の目のようなノミ目をつけていく。
・バナナ彫り 板目に沿って互い違いに並べていく法。
・丸ノミ彫り 丸ノミを使ってノミの跡をつける。
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